DAY1: パネルディスカッション
インタラクションデザインの時代
by Dan Saffer, 横田聡, 宮崎光弘, 篠原稔和(モデレーター)
未来のビジョニングが大事?
宮崎:この技術でこうなる、というリアリティのあるものを積み上げたもののように感じている。
Dan:自分たちがやっていることは遠い未来のもののデザインというより、近未来のもののデザイン。vision prototypeと呼んでいるが、Auroraコンセプトムービーみたいな、ああいうビジョンを見せることがコミュニティを維持するファンクション。
What's Interaction Design?
宮崎:Interactionへの市場とかの反応は感じる。例えば、複合コピー機についている大きな画面。昔はプロダクトデザイナーがついでのように画面のデザインをやっていたわけだけど、商品の差別化などのために今はインタラクションデザイナーがついている。つまり根付いている気がする。とはいえ、別に肩書がインタラクションデザイナーでなくても、ちゃんと分かっている人がやればいいと考えている。
Dan:In US, growing of Interaction design field has been recognized. iPhone is a good news for Interaction design as a comprehensive one in terms of Interface design, Interaction design and Business. iPhoneがでてきたことでmagazineがインタラクションデザインを特集したこともあり、一般にも浸透してきていると言えるかもしれない。
『インタラクションデザインの教科書』を書いたきっかけ?
Dan:ドットコムバブルの時代があり、崩壊して人が減り、最近ではこのフィールドに入ってくる人が増えて来た。大学院生時にundergraduateにインタラクションデザインを教えていたが適当な教材がなかったためテキストブックとして作った。Jesse James Garretは、Information Designの上にInformation Architecture(静的なドキュメント整理)とInteraction(動的でソフトウェア的)なものがあると言っているが、mostly agree with him, but JJGがそこには何かストラクチャーがなければいけないと言っているのに対し、僕は構造よりもInteractionが上であると考えている。
Interaction Designerの役割?
- 誰がやったらよいか?
横田:(クラスメソッドでは)職種としてアップしていったというよりは、クライアントとの話の中で追加されていった感じがする。早いタイミングで後工程のスタッフ達がクライアントやユーザーに話を聞く。プロジェクトの一番最初にデザイナーが入る。
宮崎:(アクシスでは)分業だけど完全な分業じゃないという風にしたい。お互いに何をやっているかは分かるというような。もちろんそれぞれ得意分野はある。
Dan:(Adaptive Pathでは)Project Leadという人がいてそれはつまりCreative Directorなんだけど役割としてはプロジェクトのビジョンを示すこと。その他に、Design Technologist(?)、Visual Designer、Interaction Designerがいる。Interaction DesignerのバックグラウンドはDeveloperだった人もいれば、Writerだった人、Art Schoolを出てる人などさまざま。どんなバックグラウンドであれInteraction Designerであれば何を扱っているかということぐらいは知っている必要がある。
[会場からの質問セッション]
Interaction Designの中でさらにセクションがあるのか?デザイナーとしてのview、エンジニアとしてのviewとか
宮崎:Webで言えばXMLの受け渡しで分岐する(Flashの場合だけど)。アクシスだとXMLの受け手と渡し手でデザイナーとエンジニアが分かれる。本当は1人で通しで見れる方が望ましいので、その傾向が強いため、アクシスの例はあまり参考にならないかもしれない。
横田:お客さんとの空間を埋められるかどうかが分かれ目。クライアントからのヒントを100%真に受けるタイプの人はプログラマーで、ヒントを聞いた上で行間まで読んでさらに提案できる人がインタラクションデザイナーに向いていると言えるのでは?
Dan:チームの規模による。1人ぼっちチームなら当然1人で全部見るし見解も一つである。たくさんの人がチームにいれば、より掘り下げたもの、凝ったものを作れる。インタラクションデザインはインタラクションデザイナーの肩書を持った人でなくてもできる活動である。オープンマインドを持っていれば。Most people can. Not anyone. インタラクションデザイナーとエンジニアのバランスの取れたチームがいいものを作れると思う。Equal respectが必要で、if either interaction designer or engineer is dominant, the project will be fail. エンジニアの方がパワーを持ってるケースが多いが、企業がデザイナーの方もバックアップする姿勢が必要。
一定規模以上のWebで、インタラクションを共通認識として持つためのドキュメンテーションは?
Dan:何を作るべきかが明快に書かれたものが必要。それ以上、それ以下でもダメ。Depends on organization. 膨大なドキュメントの時もあればホワイトボードのメモのみという時もあるし、あるプロジェクトではそれはポスターだった。オフィス中にペルソナが貼ってある時もある。
- タイムラインが加わるようなケースではどうか?
Dan:タイムボックスという概念がある。プロジェクト全体でこれだけの時間があり、その中で各工程にさかのぼって、この工程には何日、この工程には何時間と割り振っていくような。
chibirashka感想
・夢妄想的な想像力も必要だけど、説得力のあるデザインビジョンのためには実現可能性も必要。なので「テクノロジーに紐づくリアリティのあるものの積み上げ」ということに非常に納得。でも、であれば、デザインファームであっても、何か便利な新しいAPI、といったレベルの技術ではなく、もっと基礎研究的なコア技術についての情報を積極的に取り込んでいってもいいのではないかと思った。まぁ、実際にはindependentなdesign firmでは難しいかもしれない。
・宮崎さんの話の中で、1人のデザイナーがPhotoshopもイラレもいじるし、HTMLもプログラムも書くし、一昔前はDirectorというツールでLingoという言語を書いたり・・みたいな話があったんだけど、確かにアメリカの大学ではそういう風な教育だった。デッサンの授業もあったし、Media Writingや広告理論とかもやりつつ、Photoshopも、AdobePremiereでのビデオ編集も、DirectorでLingoとかも確かに書いてたよ。超文系な私が苦労してLingoでへんてこなゲーム作ったり、CD-ROMオーサリングやったりしてたなぁ〜と。関係ないけどそんなことを思い出した。結局それぞれみんな得意分野は分かれて行くんだけど、最低限それぞれの工程にどんな作業が発生するかとかが分かって、作業分担してパーツを作る時にも、次の工程に渡すためにどんな風なフォーマットにしといたらいいかということが分かる風にはなってた気がする。今のWeb業界は分業が進んで来ていると思うけど、それでもそれなりに、各フェーズの担当者がどういうことをするのかぐらいはお互いが理解してカバーしあわないといけないだろうね。
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